薬剤師本
薬剤師のヒューマンスキルが見えてきた
―調剤現場で働くあなた自身への“処方せん”

著者:水野敦典(有限会社 メディック 代表取締役)
編集・制作:株式会社 アンカーインフォメーション
2008年11月17日発行
B6判/164頁/本文2色刷 定価1,800円(税別)


 後期高齢者医療制度の創設による混乱や救急医療の崩壊にみられるように,日本の医療はいま大転換期をむかえています。国による財政重視の政策や患者意識の高まりで,医師や薬剤師など医療従事者もあらゆる場面で従来のあり方からの脱皮を迫られています。
 そのなかで調剤薬局は,後発品使用促進策の強化を契機に権限と義務が大幅に拡大する一方,過当競争による淘汰の時代も視野に入ってきました。こうした環境変化に打ち勝って安定的な経営を維持するには,まず現場の薬剤師一人ひとりが自覚と意識を高め,患者・医療消費者に接することが重要となります。
 本書は,薬剤師が地域医療の担い手として,この環境変化をどう認識し店舗業務を遂行すればよいのかを,著者独自の新しい切り口で提案します。
 不透明な調剤薬局の将来にむけ,経営のあるべき姿と現場薬剤師の進むべき方向を示唆する手引となります。

推薦文
日本保険薬局協会専務理事 漆畑 稔

 現在、我が国の医療制度が全般にわたって大きな曲り角にあることは、皆さんご承知の通りです。そのため国などは、様々な施策を実施しています。しかし皮肉なことに、後期高齢者医療制度に代表されるように内容が複雑でわかり難くいため、国民や患者はもとより私たち医療者にあっても、そのこと自体がさらに将来を展望し難くさせています。国民・患者と医療者の双方が、将来を展望できずに、漠然とした不安を抱きながら医療を行っているという極めて不幸な状況にあるのです。
 これに対応するには、薬剤師が疾病や薬学に関して日々研鑽することは当然として、医療制度改革などの一連の制度の動向を注視し理解する必要があります。また、必要な場合には積極的に発言することも医療者の役割です。 さらに薬剤師として重要なことは、医療者として明確な志を抱き、人格を磨き、自信を持つことにあります。医療者としての自信は、患者さんに安心をもたらすことができます。私たちは薬剤師が持つべき薬学的な知識や技術などとともに、社会性や人間性を備え磨くことが必要です。
 そこで登場するのが本書です。内容はまさにうってつけでお奨めですが、何よりも著者である水野先生のお人柄が一番のお奨めです。
現在の私たちを取り巻く様々な状況を把握して、バランス感覚を持ちながら、的確な方向性を語れる方はなかなかいないものです。
 水野先生のお書きになった本書を、水野先生の人となりを想像しながら読み解いていただき、それぞれの仕事や人生に役立てていただきたいと考え、推薦の一文を書かせていただきました。

<企画のポイント>
・医療環境は急速に変化しており,調剤薬局の経営も明らかな転換点を迎えている
・後発品使用促進で調剤薬局は大きな権限と責任を負うことになり,従来の延長線上の業務ではサバイバルレースに勝てなくなる
・調剤薬局の経営は,現場薬剤師の意識高揚とその具体的実践に左右される

No.1一歩を踏み出す勇気で視界良好―総論に代えて―
現実味を増してきた調剤環境の悪化/変化を認識できているか/横柄な態度は許せない/企業文化の醸成と「人財」育成を
No.2「上り坂」「下り坂」「まさか」
パラダイムシフトを感じ取る/薬局の二極化は「人」から/品格を備えているか
No.3どうなる、どうする薬局・薬剤師のこれから
伸び続ける調剤医療費/薬局、薬剤師、薬科大学の適正数は/顧客満足を与えられるか
No.4KYで左右される時代の大きな曲がり角
使命感に燃え激務をこなす勤務医/臨床研修制度の義務化が拍車/格段に広がる守備範囲/分業率50%達成は経済誘導の結果
No.5"処方せん調剤のみの薬剤師"になっていませんか
財政主導で推移する医療制度改革/非言語コミュニケーションの価値/調剤室を聖域化しない
No.6愛すること、愛されることって大切だ!
健康とユーモア/リッツ・カールトンホテルに学ぶ/自ら考え決断し行動を起こす
No.7薬局の収入、薬剤師の人件費はどこから?
医療保険制度の仕組み/保険者、被保険者、被扶養者とは?/レセプトと医療費の流れ/レセプト審査の仕組み/調剤報酬レセプトの審査
No.8トンネルの先に見えるものは何ですか
先の見えない医療環境にチャレンジ/後期高齢者(長寿)医療制度の創設/ビジョンのないところに生き残りなし
No.9薬剤師ってまじめなの?
「堅い」「暗い」「融通がきかない」/足元を見て現実の世界を描く/健康の専門店・専門家として
No.10「あれもこれも」ではなく「あれかこれ」
患者さんはあなたのお店がなくなったら困りますか?/時代感覚をとらえていますか/企業文化(理念・ビジョン)の醸成
No.11人は話を聞いてくれる人を好きになる
投薬時に「自己紹介」をしてみませんか/「忙しい」では済まされない
No.12誰が医療を破壊しているの?―医療は国民の共有財産―
医療費の増大(国民所得と国民医療費)/現場で何が起こっているのか/安全な医療から程遠い環境
No.13ジェネリック医薬品(後発品)って後から出てきた古い薬なの?
ジェネリック医薬品とは/処方せん様式見直しの影響は/調剤薬局生き残りの分岐点/不安は払拭されるのか
No.14感動を生む心からのおもてなし"ホスピタリティ"
本当のサービスとは/病院(ホスピタル)のホスピタリティ/薬局の現場で遭遇すること/ホスピタリティから学ぶ顧客満足度
No.15「まさか」の時代を乗り切る術はありますか?
時代が求めるのは経験則か創造力か/人生における最大の不幸「欠陥上司に遭遇すること」/"壊れ窓理論"に思う
No.16あなたは一流ですか? 三流ですか?
急速な環境変化/一流と三流では何が違うのか/「先生」と呼ばれて歯がゆくないですか?
No.17薬剤師に賞味期限はないのだろうか
一歩を踏み出す勇気/世間が持つイメージを払拭できるのか
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